ERPを捨て、フルスクラッチ

目的

他社から導入した食品製造業向け販売管理システムを捨て、弊社でフルスクラッチで作る事になりました。 理由としては以下の通りです。

  • メニューに沢山の機能が並ぶが、使わない機能が多く煩わしい
  • 伝票入力画面にも不要な項目が多く、わざわざスキップしなくてはならない
  • 生産に関してもシステム化したかったが、やってみると余りに運用負荷が高くて断念した
  • 在庫管理も難しい

ERPパッケージを導入したが、多機能ゆえに使い勝手が悪く、運用は煩雑になる。中小、零細企業の場合、基幹業務システムの運用ににどれだけの人材コストが掛けれるか?という問題から、リースアップを機に必要な機能を使いやすくということで、いちから構築しました。

構成図

フロー

ポイント

パッケージソフトの良いところは取り入れ、不要な部分は徹底的に排除しました。人的コストを掛けれない理由から、在庫管理も省いています。原料は野菜が中心なので、特に在庫管理は難しいという事です。

手が覚えているとの理由から、入力画面は基本的にパッケージソフトのイメージを流用しています。

苦労した点

元がやはりパッケージソフトですから、細かいところの作り込みがサスガでした。なるべくイメージは継承して、ご要望に沿ってオリジナルに仕上げてます。何度も現地に通い、運用を見せていただき、徹底的にヒヤリングを行いました。

技術的な要素(導入当時)

  • 言語:VisualBasic.NET
  • 帳票:CrystalReport
  • データベース言語:T-SQL
  • データベース:SQL Server Express
  • サーバー:Windows Server 2012R2
  • クライアント:Windows7,10

雑感

本来は完成度の高いはずのERPパッケージなのに、なぜ満足度が少なかったのか?
原因は以下の通りだと思います。

コストを抑える為にカスタマイズの範囲を限定したと思われ、期待値に追いつかなかった。

パッケージは、例えば特定の業種における、標準的な仕様で作成されています。そしてERPは、「お客様仕様」にカスタマイズ可能な製品です。しかし、要求される仕様によっては、カスタマイズ費用が想定以上に膨らんだり、場合によっては要求自体が実現不可能という事もあります。

要求仕様とコストとの兼ね合いを図るのが、「フィット&ギャップ」というシーンです。ERPを提案する側は、「規模」「業種」である程度は絞りますが、中身については、やはり現状のヒアリングを行わないと見えてこないものです。そして、結果が予想の範疇に収まれば良いのですが、そうでない時、もしくは導入してから修復不能なアンマッチが見つかる等という落とし穴もあります。契約前なら軌道修正も可能ですが、場合によっては難しい状況かもしれません。

ERPの導入は私も何度か経験しました。ほぼカスタマイズを行わず、バッチリと納まったケースもあれば、妥協の産物になったケースもありました。提案する側が、販売するERPの詳細を理解していないと、上手くいかないなと実感したものです。